【論文100本ノックの100】相対勾配法による 3 次元点群からの特徴抽出.
1 目 的
点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。
2 はじめに
100本計画の100本目として、和文2ページの本論文を読む。
3 対象論文と要約
3.1 対象論文
相対勾配法による 3 次元点群からの特徴抽出.
堀田富宝, & 岩切宗利 防衛大学校
第 76 回全国大会講演論文集 2014.1 (2014): 221-222. 2014
3.2 研究内容
(社会的・技術的ニーズ)
3次元形状の位置合わせ等において、特徴点の抽出や特徴量を用いた情報処理が重要である
(提案手法)
3次元点群をエッジや頂点などの領域ごとに特徴抽出する手法を検討する
3.3 従来の問題点と解決法
なし。
3.4 提案手法平面が交差するエッジ付近の法線ベクトルは、面に対して垂直にならないことを利用し、法線ベクトルの内積値の分布から、次の手順により点群をグループ化する
(1)主成分分析により、点群に含まれるすべての点の法線ベクトル算出
(2)ある点の法線ベクトルと、その点から特定の距離内にある点の法線ベクトルとの内積をすべて算出
(3)(2)で得た値より内積値の分散を算出
3.5 検証実験
提案手法を、以下の3つの3面モデルに適用した
(1)論理モデル
3つの面が交わる角の周辺に最も強く、ついでエッジに強く反応した。
(2)ノイズあり論理モデル
(1)同様の結果が出たため、ノイズにロバストである
(3)実測モデル
モデル取得時に生じた疎な領域に強く反応した。
これは、注目点と同一平面方向に欠損が生じ、対向面の影響を過剰に強く受けたことによる。
3.6 今後の検討
なし。
4 出現用語
5 おわりに
100本ノックの最後は、点群技術の基礎中の基礎、特徴点モノとなった。
点群の特徴抽出・特徴量算出技術は、殆どの応用分野に波及する、インパクトの大きいものである。
ブログ上での企画は終わるが、今後も追跡調査したい分野である。
6 今後調査したい事項
特徴関係の研究
【論文100本ノックの99】地上型レーザースキャナを用いた都市空間における樹木の三次元情報の取得 微気候予測のための樹木のモデル化に向けた検討
1 目 的
点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。
2 はじめに
100本計画の99本目として、和文1ページの本論文(ポスター)を読む。
3 対象論文と要約
3.1 対象論文
地上型レーザースキャナを用いた都市空間における樹木の三次元情報の取得 微気候予測のための樹木のモデル化に向けた検討
本田友里香, 淺輪貴史, 梅干野晁, & 押尾晴樹 東京工業大学
日本ヒートアイランド学会第 6 回全国大会 (2011): 118-119. 2011
http://www.hy.depe.titech.ac.jp/newposter/2011posterpdf/HI2011-Honda.pdf
3.2 研究内容
(社会的・技術的ニーズ)
熱環境悪化対策として緑化を推進するにあたり、樹木の微気候調整高架の予測・評価結果を踏まえる必要がある
(提案手法)
樹木の形態情報を取得するため、3次元レーザースキャナを用い、測定地点別に取得される外形及び密度情報の分布の違いの把握を目指す。
3.3 従来の問題点と解決法
なし。
3.4 提案手法以下のとおり外形及び密度情報の分布の違いを把握する
(1)点群密度分布の三次元可視化・密度分析の手法
レーザの遮蔽等の問題を考慮した上で、密度分布を3次元で示した
樹幹を各辺10cmのボクセルに分割し、ボクセルごとの点密度を算出した
(2)樹幹外形の取得精度の検討
鉛直方向に10cm間隔でレイヤーを形成し、中心角2°でエリア分割し、各エリア内で中心から最も遠い点を外形構成点群として抽出
3.5 検証実験
(1)密度分析の手法
点密度分布にはレーザが遮蔽される影響が顕著に現れる
2方向からレーザ測距した場合、どちらかから届いているボクセルに対して共通して届いているボクセルは30~60%程度である。
また、点群として考えるとその比率はさらに下がる。
(2)樹幹外形の取得精度の検討
1地点からの取得可能な外形は特に樹幹上部で少なく、60~80%であった
2地点からの測定を合成することで80~90%の外形が取得可能
3.6 今後の検討
・密度分布についての補正
・LADの算出
・着葉前後の比較
・形態と整理特性の関係の検証
4 出現用語
5 おわりに
ポスター発表資料の読み込みである。
ポスター発表は、多かれ少なかれ発表者の補佐がなければ完全な理解は難しいため、おそらく記事は不完全である。
論文は、構成から書き方まで様式が決まっているため、ある程度頭を使わなくても材料を流し込むだけで完成品ができる。
しかし、ポスターは、どこに何をどう配置するかがいまいちわからない(=自由)なので、作るたびに苦労する。
ただ、点群研究の多くはグラフィカルであるし、またそうあるべきだと思うので、ポスター発表との相性は良いはずである。
ポスター作成について勉強したい。
6 今後調査したい事項
ポスター作成要領
【論文100本ノックの98】道路情報プラットフォームにおけるユーザインタフェースの開発
1 目 的
点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。
2 はじめに
100本計画の98本目として、和文2ページの本論文を読む。
3 対象論文と要約
3.1 対象論文
道路情報プラットフォームにおけるユーザインタフェースの開発
石川真成, 坂本大介, 阿部昭博, 市川尚, & 窪田諭.
第 76 回全国大会講演論文集 2014.1 (2014): 719-721. 2014
3.2 研究内容
(社会的・技術的ニーズ)
道路の補修や苦情対応を行う維持管理業務を効率的に行うプラットフォームのニーズがある。
(提案手法)
台帳管理や閲覧、調査・点検情報などの登録を一元的に行えるシステムを開発し、岩手県県南広域振興局土木部遠野土木センターで運用する
3.3 従来の問題点と解決法
・先行システムは写真の登録や台帳付図に直接書き込む機能がなく、現場業務で発見した事象を入力できない
→
・大雨による土砂崩れが多いため、砂防台帳管理機能が欲しい
→
3.4 提案手法開発方針は以下のとおり
(1)維持管理業務において台帳付図への手書き入力、写真の登録、台帳付図の閲覧を一元的に行うことができる情報システムを開発
(2)3G回線不通箇所があるため、オフライン利用を可能とする
(3)3次元点群座標データを用いて斜面管理を行う。
3次元点群データで表される斜面画像上に点群情報等を登録可能とする。
3次元点群座標データは、モービルマッピングシステムを利用した建物・道路の形状・標識等の3次元位置情報を天軍で取得したものである
3.5 検証実験
システム運用の結果、以下の知見を得た。
(1)隣接する台帳付図について髪をめくるように閲覧するという要求を満たすため、台帳付図ごとに付番して登録
(2)台帳のデータはPDF形式だったため、PNGに変換する必要があったが、今後はさらに閲覧に耐えうる画像ファイルに変換する作業が必要となる
3.6 今後の検討
・登録路線を増やす
・他の土木センターでの長期運用により実務での業務効率化と運用について詳細に検討
・地図上へのコメント機能
・各種台帳及び付図の登録方法の改善
4 出現用語
5 おわりに
#92の前年の研究発表である。
#92では、インターフェースの話がメインであったため、点群データが斜面管理にどのように使われているかが見えなかったが、本研究では少し詳しく書かれていた。
点群を用いたデータ解析等はよく見かけるが、点群を直接閲覧データとして人間が利用する例は少ないと思うので、貴重な知見として続報を読みたい。
6 今後調査したい事項
本稿の続報(点群データの利用部分)
【論文100本ノックの97】足部 3 次元点群データからの解剖学的特徴点の抽出
1 目 的
点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。
2 はじめに
100本計画の97本目として、和文2ページの本論文を読む。
3 対象論文と要約
3.1 対象論文
足部 3 次元点群データからの解剖学的特徴点の抽出
樋口裕介, 高尾祐介, & 福井幸男 筑波大学
第 69 回全国大会講演論文集 2007.1 (2007): 81-82. 2007
3.2 研究内容
(社会的・技術的ニーズ)
個人の身体に適合した靴を提供するため、個人の身体形状データを点群データから正確に取得するシステムの需要がある。
(提案手法)
3次元足部モデルの座標定義用基準点MT,MFを自動抽出する
3.3 従来の問題点と解決法
・FFD法により、3次元スキャナで計測された身体形状データから製品設計に必要とされる全ての解剖学的特徴点を自動抽出することができるが、踵点・MT・MFの3点は未だに手計測によって得られている
→MT,MFを自動抽出する
3.4 提案手法(1)親指と人差指との距離の計測
親指より人差し指が3mm以上長いデータでは、自動抽出精度が極端に悪くなるため、例外的に手計測する。
(2)MT・MF自動抽出
ア 座標系の定義
抽出処理のための座標系を定義する(従来手法通り)
イ 足型の判別
抽出対象データをギリシャ型・エジプト型のどちらかに分類する
ウ 抽出範囲の設定
親指先端位置と小指先端位置の座標値をもとにMTとMFの抽出範囲をそれぞれ設定する
エ 抽出処理
以下の分析結果に基づき処理する
・MT・MFが一定の角度位置に存在する
・MT・MFにおける接線の傾きに一定の傾向がある
3.5 検証実験
提案手法を50名分実施した。
推定誤差は平均2mm±1mm程度と、前回より抑えることができた。
3.6 今後の検討
・平均誤差・最大誤差を縮めるため、除外処理も含めた抽出手法の改善が必要
4 出現用語
5 おわりに
#80の翌年の発表。
結果が改善されており、より実用に近づいた。
こういった、研究成果が実用用途に直結する研究は多々見かけるが、実際に実用され、俗っぽく言えば特許料や商業成果等で「儲かっている」研究はどれくらいあるのだろうか。
ある程度「儲かっている」状況が作られれば、学生ベンチャー等が活発になるんだろうが、「東大」などの「ブランド」を背負っていない大学では、まだまだ馴染んでいない印象がある。
6 今後調査したい事項
【論文100本ノックの96】高架道路橋の 3 次元 CG モデルの自動作成に関する研究
1 目 的
点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。
2 はじめに
100本計画の96本目として、和文2ページの本論文を読む。
3 対象論文と要約
3.1 対象論文
高架道路橋の 3 次元 CG モデルの自動作成に関する研究
姜文渊, 田中成典, 北川悦司, 安彦智史, & 川野浩平 関西大学、阪南大学
第 74 回全国大会講演論文集 2012.1 (2012): 177-178. 2012
3.2 研究内容
(社会的・技術的ニーズ)
高価道路橋は都市景観を大きく損なう可能性があるため、都市計画において移設シミュレーションをコストを抑えて実施したいというニーズがある
(提案手法)
高価道路橋の点群データから景観評価に利用できる3DCGモデルを自動作成する手法を提案する
3.3 従来の問題点と解決法
・上部工ごとの3DCGモデル製作には、人手による手間や時間などのコストの問題がある
→レーザ測量を利用し、自動作成する
3.4 提案手法以下のとおり、高架道路橋を上部工ごとに分割した3DCGモデルを作成する
(1)ノイズ除去機能
道路構造物以外の点群を、計測転換の距離に基づいてクラスタリングし、最大クラスタ以外を除去する
(2)特徴点抽出機能
路面と壁面の交点および壁面の頂点を、特徴点として抽出する
(3)高架道路用分割機能
路面の色情報から特定した上部工の連結部で点群データを分割する
(4)3DCGモデル作成機能
特徴点から高架道路橋上面の舗装面の作成を行い、3DCGモデルを作成する
3.5 検証実験
提案手法を適用した結果は以下のとおり。
(1)上部工と連結部との正解データ比較
ほぼ誤抽出なく高精度で連結部を特定できた。
ただし、1件特定できなかったため、周辺路面と連結部の色が近似する場合、正しく分割できないことがわかった。
(2)特定した連結部と3DCGモデル形状の比較
29件中16件は問題なく3DCGを再現できた。
ただし、道路に分岐が生じている11件については、分岐先特徴点をご抽出するなどの異常が見られた。
また、2件は別車線を走行する通行車両により広範囲に計測不良が生じたため、推定による特徴点の補正が困難な事例が見られた。
(3)3DCG作成に伴う時間的コストの比較
従来手法よりコストの削減が実現できた
3.6 今後の検討
・点群データと同時に撮影したビデオ映像の併用による、より頑健な手法
・路面の標識や高価道路橋の付属品のモデリング
4 出現用語
5 おわりに
点群データを自前で用意する際、どの程度環境を整えるかに悩むことがある。
本論文では、対向車により点群データに欠損が生じていた。
これは、「実用においてそのような問題が生じる」ことを示すには良いが、「本手法が理想的に適用された際の有効性」を示すには、不要なデータである。
このようなデータは、基本的に実験対象としては扱わず、「例外例」として挙げるほうが良いのではないかと、個人的には思う。
6 今後調査したい事項
【論文100本ノックの95】ブラウン運動による複雑曲面の衝突ループ検出
1 目 的
点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。
2 はじめに
100本計画の95本目として、和文2ページの本論文を読む。
3 対象論文と要約
3.1 対象論文
ブラウン運動による複雑曲面の衝突ループ検出
城良友, 田中覚, 仲田晋, 木村彰徳, 長谷川恭子, 岡将史, & 柴田章博 立命館大学
情報処理学会第 67 回全国大会, 4, 2. 2005
3.2 研究内容
(社会的・技術的ニーズ)
形状モデリングやCGにおいて、3次元曲面の衝突を検出・可視化することがしばしば要求される
(提案手法)
確率的な一様探索を行うことで、他の陰関数曲面との交点を検出し、散在する多数の衝突ループを可視化するとともに、本手法を応用して複雑な等高線も可視化できることを示した
3.3 従来の問題点と解決法
・複雑な陰関数曲面同士が衝突している空間では、多くの衝突ループが散在しており、それらをもれなく探索・検出することは難しい
→確率過程サンプリング法を用いて検出・可視化し、等高線を描画する
3.4 提案手法(1)確率過程サンプリング法
陰関数曲面上でのブラウン運動をシミュレートし、その軌跡上に点を生成することで、陰関数曲面を高速・精密にサンプリングする
(2)衝突ループ検出
確率過程サンプリング法に基づき、陰関数曲面の衝突ループを検出・可視化する
3.5 検証実験
提案手法を、スタンフォードドラゴンに適用した。
曲面上での一様な確率的探索により複雑な陰関数曲面の全ての衝突ループを検出し、精密に描画できることを示した。
また、複雑な陰関数曲面の等高線を精密に描画できることを示した。
3.6 今後の検討
なし。
4 出現用語
5 おわりに
点群の研究成果を発表する際、最も悩ましい問題の1つに、「図をどう見せるか」がある。
点群は3次元であるが、論文に載せることができる画像は2次元であるため、どうしても意図どおりに伝えることが難しい場合がある。
3次元形状を2次元画像でわかりやすく伝える方法の1つとして、3次元モデルに投稿線を引くという方法がある。
本論文の内容を正確に理解したわけではないが、有用とのことなので、要すれば使ってみたい。
6 今後調査したい事項
【論文100本ノックの94】頭蓋骨の形状を考慮した顔の肥痩シミュレーション
1 目 的
点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。
2 はじめに
100本計画の94本目として、和文2ページの本論文を読む。
3 対象論文と要約
3.1 対象論文
頭蓋骨の形状を考慮した顔の肥痩シミュレーション
藤崎匡裕, 桑原大樹, 溝川あい, 中村太郎, 前島謙宣, & 森島繁生 早稲田大学
情報処理学会第 76 回全国大会 6 (2014): 3. 2014
3.2 研究内容
(社会的・技術的ニーズ)
美容、映像制作の分野において、人の顔の肥痩シミュレーションが必要とされている
(提案手法)
MRI画像データベースを用いることで、顔の内部の頭蓋骨形状を考慮し、入力人物に適した変形を行うことで、よりリアルな肥痩変形を実現した
3.3 従来の問題点と解決法
・顔の肥痩変形の研究において、顔の内部構造まで考慮したものはない
・全ての人物に対して一様な変形を行っているため、肥痩変形の個人性を表現できていない
→MRI画像データベースを用いて、正面顔画像一枚から入力人物の頭蓋骨形状を推定し、入力人物ごとに適した肥痩変形を行う
3.4 提案手法(1)事前処理
顔画像及び頭蓋骨形状のデータベースを構築し、各人物の頭蓋骨形状に対応する肥痩ルールを抽出する手順を記述する
ア データベースの構築
正面顔画像および頭部MRI画像を撮影し、それぞれ特徴点の位置を求める
イ データベース上の人物肥痩ルール抽出
正面顔画像と頭部MRI画像から、脂肪量の違いを求め、肥痩変形のルールを決定する
(2)肥痩シミュレーション
ア 入力人物の頭蓋骨形状推定
データベースに最も近い頭蓋骨を、推定頭蓋骨として採用
イ 肥痩ルールの適用
推定頭蓋骨に応じた肥痩ルールにより肥痩変形を行う。
ただし、痩せ変形において、頭蓋骨を超える非現実的な変形には制約をかける。
3.5 検証実験
提案手法を実装した。
従来手法のように頭蓋骨形状を超えた非現実的な変形を止めることができた。
3.6 今後の検討
・肥痩変形時の顔パーツ変形の表現
・3Dモデルへの適用による陰影の表現
4 出現用語
5 おわりに
点群というワードはあるが、2次元画像の特徴点群のことであり、3次元点群の県級ではなかった。
しかし、従来手法に明らかな誤りがある場合、それに制約をかけて解消するという点には、学ぶべきところがあった。
6 今後調査したい事項