【論文100本ノックの53】3 次元計測に基づく大規模点群処理の課題と技術動向
1 目 的
点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。
2 はじめに
100本計画の53本目として、和文4ページの本論文を読む。
3 対象論文と要約
3.1 対象論文
3 次元計測に基づく大規模点群処理の課題と技術動向
増田宏 電気通信大学
精密工学会誌 79.5 (2013): 384-387. 2013
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/79/5/79_384/_article/-char/ja/
3.2 研究内容
(社会的ニーズ)
メンテナンス社会に突入した我が国では、3次元計測と大規模点群処理は、メンテナンスを支援するための有望な技術である。
(提案手法)
大規模点群処理について、現在までに何がどこまでできたのかについて論じる。
3.3 概要
(1)大規模環境からの点群取得
ア 固定式レーザスキャナ
・飛行伝搬時間方式
…パルス発行させたレーザ光を用いる
・位相差方式
…変調させたレーザ光を連続的に照射して距離を計測する
イ 移動計測
GPS+IMUで、計測した座標を緯度経度等の大域的な座標系に変換
(2)工場・プラントを対象とした点群処理
ア 研究の方向性
・既存のCAD等の入力に合わせて点群データをメンモデルや立体モデルに変換し、作業系統のシミュレーションなどは既存システムに任せる。
・高密度な点群による形状表現に基づいた新しい生産支援システムを構築
イ 研究の現状
(ア)近傍探索
・KDツリー
・億ツリー
(イ)前処理
・移動最小2情報による平滑化
・ロバスト推定(Tukeyバイウェイト法など)
(ウ)セグメンテーション
・主成分分析
…主成分方向と固有値の比を用いてグループ化
・連結成分を用いる方法
…距離が閾値以内なら同じグループ
・曲面検出を用いる手法
…RANSAC法等を用いる
(エ)曲面検出
・領域成長法
・RANSAC
・規格値に合わせて寸法値を調整する方法
・工場部材は垂直または平行に配置されていることが多いという前提を用いた手法
ウ 今後の研究課題
(ア)面の連結による形状再構成
もとの物体の形状を再構成する手法は未確立
(イ)形状の規則性を利用した形状再構成
対象物が非常に限定されている
(ウ)パターン認識を用いた形状再構成
対象物が非常に限定されており、誤認識も多い
(エ)レジストレーション
大規模な点群の短時間、高精度、全自動での位置合わせは困難
エ 研究の方向
(ア)道路周辺の地物の種別と位置
(イ)路面やトンネルなどの現況や劣化
(ウ)ガードレールや標識などの現況や劣化
オ 研究の現状と研究課題
・分離した点群からの地物の種別の同定
…どのような特徴量が有効化についてはまだ研究の余地がある。
・レジストレーション(移動計測)
…座標値や特徴量などに基づいて点群位置を補正する手法はまだ提案されていない
4 出現用語
5 おわりに
大規模点群処理に関する研究動向がまとめてあった。
研究においては、自身の研究と同じくらい、他人の研究を調査する必要がある。
これがひとところにまとまっていると、非常に労力を削減することができる。
4年前の記事なので、また状況も変わっているだろうが、過去何十年も遡らなくてよいという点では、非常に有用であった。
6 今後調査したい事項
最近4年間の研究動向