PCLで点群処理

PCLで点群処理したあれこれを書いていきます。

【論文100本ノックの84】汎用イメージスキャナを用いた高精度三次元形状測定に関する研究

1 目 的

 点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。

 

2 はじめに

 100本計画の84本目として、和文2ページの本論文を読む。

 

3 対象論文と要約

3.1 対象論文

汎用イメージスキャナを用いた高精度三次元形状測定に関する研究

周藤一浩, 齋藤豪, 張英夏, & 中嶋正之 東京工業大学

情報処理学会第 69 回全国大会 6 (2007): 7. 2007

https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=173294&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1&page_id=13&block_id=8

3.2 研究内容

(社会的ニーズ)

 なし。

(提案手法)

 汎用イメージスキャナを用いた手軽かつ安価な高精度三次元最高性手法を提案する

3.3 従来の問題点と解決法

・従来手法では高価な3次元スキャナを用いているため、一般の人が手軽に利用できない

→汎用イメージスキャナを用いる

3.4 提案手法

(1)汎用イメージスキャナによる画像取得

 スキャナ面と対象物体の間に、一定間隔でCCDセンサに平行な縞パターンが複数印刷されたトラペアシートを挟んでスキャンし、生じた影幅を計測し、物体表面の深さを求める。

(2)影幅推定

 縞印刷トラペアと無印刷トラペア両方でスキャンし、陰影の差分を取得することで、安定的に影幅を推定できる。

(3)影幅情報からの形状表面の凹凸推定

 ア 適当な閾値を決め、あるx座標に対して仮の影境界のy座標を決定する

 イ 影領域と日陰領域の値をバイキュービック法によって4*4近傍の周辺ピクセルを用いて補間する

 ウ 補間値が閾値と一致する座標を求め、小数部分をy座標に追加する

(4)画像の統合

 (1)~(3)を複数回4方向から行い、精度を上げる。

 得られた点群座標を事前に作成した空間分割領域に当てはめ、領域内の中央値を取ることでノイズを除去する

(3)スキャナ特性によって生じる影を除去するテクスチャ合成手法

 影および鏡面成分を除去したテクスチャを生成した。

 ア 45度ずつ8方向から対象物体をテクスチャとして撮影し、回転・平行移動により座標を基準へと合わせる

 イ L値の大きすぎる点は鏡面成分、小さすぎる点は影成分と判断し、L値が設定した閾値以下(以上)の点を除去する

 ウ 同一座標のピクセル内を明度(Luv空間におけるL値)によってソートする

 エ 得られた同一座標の各メイド地において、L値の中央値をテクスチャとして取得する。

3.5 検証実験

(1)3次元復元

 旧1円硬貨に、従来手法と提案手法を適用した結果、従来手法では横縞が問題であったが、提案手法ではきれいに復元された。

(2)テクスチャ取得

 従来手法では鏡面及び影成分が残っているが、提案手法では除去された。

3.6 今後の検討

・反射パラメータの推定

4 出現用語

 ・CCDセンサ

http://www.coherent.co.jp/lmc/images/capdf/needs02.pdf

5 おわりに

 これまでの文献からも分かる通り、KinectやXtionが普及する前は3次元スキャナは高価であり、一般の利用が見込めない状況であったようだ。

 そんな中、(文書を読み込むような)普通のスキャナから3次元復元を考えていた人々がいたというのは、そのアイデアに敬服する思いである。

 こういう、限られたリソースからアイデアで問題を克服するというのが、研究の醍醐味の1つであるように思う。

6 今後調査したい事項