PCLで点群処理

PCLで点群処理したあれこれを書いていきます。

【論文100本ノックの87】異方性 3 次元テクスチャのポイントベースレンダリング

1 目 的

 点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。

 

2 はじめに

 100本計画の87本目として、和文2ページの本論文を読む。

 

3 対象論文と要約

3.1 対象論文

異方性 3 次元テクスチャのポイントベースレンダリング

伊藤智也, 藤本忠博, 村岡一信, 千葉則茂 八戸工業大学岩手大学東北工業大学

情報処理学会第 68 回全国大会 3 (2007): 3. 2007

https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=172589&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1&page_id=13&block_id=8

3.2 研究内容

(社会的ニーズ)

 なし。

(提案手法)

 ポリゴンによる幾何モデルから生成された3次元テクスチャを、ポイントベースレンダリングによってデータ量を削減してレンダリングを行った。

3.3 従来の問題点と解決法

・細かい表現構造を持つCGは、データ量・計算時間・画像品質の点で問題がある

→3次元構造を持つテクスチャを用いる。

・異方性3次元テクスチャ法は、レイトレーシング型のボリュームレンダリングを適用しているため、与えられた幾何情報によっては、データ量・計算量も膨大になる。

→ポイントベースレンダリング法を用いる

3.4 提案手法

 異方性テクスチャの表現では、ボクセル単位で球体を作成し、その表面上の点に異方性に必要な情報を記憶させる

(1)繊細な形状をポリゴンで作成する

(2)作成したポリゴンをボクセルの範囲でクリッピングし、サブポリゴンと呼ぶクリッピングされたポリゴンをそのボクセルに登録する。

(3)各ボクセルに密度球、陰影球を用意する。

 ア 密度球、陰影球の表面上をランダムにサンプリングした点を生成し、それら各点pをクリアする

 イ ボクセルに含まれるサブポリゴンの全てにおいて、次の作業を行う。

 (ア)ボクセルの投影面積を1とした相対面積で、各サブポリゴンの面積を正規化する。

 (イ)サブポリゴンの単位法線ベクトルをN、相対面積をS、密度球の表面上における点pの単位法線ベクトルをNpとすると、密度球状のすべての点pについて、Spを加える。

 (ウ)サブポリゴンのNと同じ法線を持つ陰影球状の点pに、そのサブポリゴンの相対面積と表面反射係数、phongの係数を加える

(4)ボクセルごとに、サブポリゴンの法線、面積、表面反射率などから、密度球、陰影級の表面上にそれらの情報を登録する。

 

(5)ポイントデータの作成

 仮想球体に登録された密度球上の点の中から、サブポリゴンの断片の面積に比例した面積の点を数個抽出し、法線を与える。

(6)ポイントデータのレンダリング

 スプラフティングによりレンダリングする

3.5 検証実験

 提案手法により樹木をレンダリングした。

 幾何モデルによるレンダリングではエイリアシングが発生した。

 レイトレーシングによるボリュームレンダリングでは、エイリアシングが少なかった。

3.6 今後の検討

・視点に依存した点群データの効率的な生成法

・スプラフティング以外のポイントレンダリング手法の適用

4 出現用語

  

5 おわりに

 提案手法を紹介しながら、実験結果では一般的手法と既存手法の評価しかせず、提案手法の評価を一切しないという、珍しい論文であった。

 点群処理ばかりしていると、点群そのものが(2次元画像に比べて)重いデータ形式と思いがちだが、CGと比較するとまだ軽いデータらしい。

 このような気付きが得られるのも、他者の視点があったればこそである。

6 今後調査したい事項