【論文100本ノックの96】高架道路橋の 3 次元 CG モデルの自動作成に関する研究
1 目 的
点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。
2 はじめに
100本計画の96本目として、和文2ページの本論文を読む。
3 対象論文と要約
3.1 対象論文
高架道路橋の 3 次元 CG モデルの自動作成に関する研究
姜文渊, 田中成典, 北川悦司, 安彦智史, & 川野浩平 関西大学、阪南大学
第 74 回全国大会講演論文集 2012.1 (2012): 177-178. 2012
3.2 研究内容
(社会的・技術的ニーズ)
高価道路橋は都市景観を大きく損なう可能性があるため、都市計画において移設シミュレーションをコストを抑えて実施したいというニーズがある
(提案手法)
高価道路橋の点群データから景観評価に利用できる3DCGモデルを自動作成する手法を提案する
3.3 従来の問題点と解決法
・上部工ごとの3DCGモデル製作には、人手による手間や時間などのコストの問題がある
→レーザ測量を利用し、自動作成する
3.4 提案手法以下のとおり、高架道路橋を上部工ごとに分割した3DCGモデルを作成する
(1)ノイズ除去機能
道路構造物以外の点群を、計測転換の距離に基づいてクラスタリングし、最大クラスタ以外を除去する
(2)特徴点抽出機能
路面と壁面の交点および壁面の頂点を、特徴点として抽出する
(3)高架道路用分割機能
路面の色情報から特定した上部工の連結部で点群データを分割する
(4)3DCGモデル作成機能
特徴点から高架道路橋上面の舗装面の作成を行い、3DCGモデルを作成する
3.5 検証実験
提案手法を適用した結果は以下のとおり。
(1)上部工と連結部との正解データ比較
ほぼ誤抽出なく高精度で連結部を特定できた。
ただし、1件特定できなかったため、周辺路面と連結部の色が近似する場合、正しく分割できないことがわかった。
(2)特定した連結部と3DCGモデル形状の比較
29件中16件は問題なく3DCGを再現できた。
ただし、道路に分岐が生じている11件については、分岐先特徴点をご抽出するなどの異常が見られた。
また、2件は別車線を走行する通行車両により広範囲に計測不良が生じたため、推定による特徴点の補正が困難な事例が見られた。
(3)3DCG作成に伴う時間的コストの比較
従来手法よりコストの削減が実現できた
3.6 今後の検討
・点群データと同時に撮影したビデオ映像の併用による、より頑健な手法
・路面の標識や高価道路橋の付属品のモデリング
4 出現用語
5 おわりに
点群データを自前で用意する際、どの程度環境を整えるかに悩むことがある。
本論文では、対向車により点群データに欠損が生じていた。
これは、「実用においてそのような問題が生じる」ことを示すには良いが、「本手法が理想的に適用された際の有効性」を示すには、不要なデータである。
このようなデータは、基本的に実験対象としては扱わず、「例外例」として挙げるほうが良いのではないかと、個人的には思う。
6 今後調査したい事項