【論文100本ノックの97】足部 3 次元点群データからの解剖学的特徴点の抽出
1 目 的
点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。
2 はじめに
100本計画の97本目として、和文2ページの本論文を読む。
3 対象論文と要約
3.1 対象論文
足部 3 次元点群データからの解剖学的特徴点の抽出
樋口裕介, 高尾祐介, & 福井幸男 筑波大学
第 69 回全国大会講演論文集 2007.1 (2007): 81-82. 2007
3.2 研究内容
(社会的・技術的ニーズ)
個人の身体に適合した靴を提供するため、個人の身体形状データを点群データから正確に取得するシステムの需要がある。
(提案手法)
3次元足部モデルの座標定義用基準点MT,MFを自動抽出する
3.3 従来の問題点と解決法
・FFD法により、3次元スキャナで計測された身体形状データから製品設計に必要とされる全ての解剖学的特徴点を自動抽出することができるが、踵点・MT・MFの3点は未だに手計測によって得られている
→MT,MFを自動抽出する
3.4 提案手法(1)親指と人差指との距離の計測
親指より人差し指が3mm以上長いデータでは、自動抽出精度が極端に悪くなるため、例外的に手計測する。
(2)MT・MF自動抽出
ア 座標系の定義
抽出処理のための座標系を定義する(従来手法通り)
イ 足型の判別
抽出対象データをギリシャ型・エジプト型のどちらかに分類する
ウ 抽出範囲の設定
親指先端位置と小指先端位置の座標値をもとにMTとMFの抽出範囲をそれぞれ設定する
エ 抽出処理
以下の分析結果に基づき処理する
・MT・MFが一定の角度位置に存在する
・MT・MFにおける接線の傾きに一定の傾向がある
3.5 検証実験
提案手法を50名分実施した。
推定誤差は平均2mm±1mm程度と、前回より抑えることができた。
3.6 今後の検討
・平均誤差・最大誤差を縮めるため、除外処理も含めた抽出手法の改善が必要
4 出現用語
5 おわりに
#80の翌年の発表。
結果が改善されており、より実用に近づいた。
こういった、研究成果が実用用途に直結する研究は多々見かけるが、実際に実用され、俗っぽく言えば特許料や商業成果等で「儲かっている」研究はどれくらいあるのだろうか。
ある程度「儲かっている」状況が作られれば、学生ベンチャー等が活発になるんだろうが、「東大」などの「ブランド」を背負っていない大学では、まだまだ馴染んでいない印象がある。
6 今後調査したい事項