【論文100本ノックの55】三角測量方式の距離画像カメラによる光の屈折を利用したカップ内の液体の発見
1 目 的
点群に関する研究論文を読み、点群処理に関する知識を得るとともに、新たな研究のための気づきを得る。
2 はじめに
100本計画の55本目として、和文8ページの本論文を読む。
3 対象論文と要約
3.1 対象論文
三角測量方式の距離画像カメラによる光の屈折を利用したカップ内の液体の発見
原祥尭, 本多史人, 坪内孝司, & 大矢晃久 筑波大学
http://130.158.125.241/~ohya/pdf/Robosym2014-HAR.pdf
3.2 研究内容
(社会的ニーズ)
(提案手法)
様々な透明度の液体に対して測定結果を定量的に評価し、測定した形状がどのように変化しているかを調査した
3.3 従来の問題点と解決法
・従来の透明物体認識に関する研究は、対象が固体に限られている
→光の屈折を利用し、無色透明の液体の認識を行う。
・従来の液体による光の屈折を利用した物体認識に関する研究は、水中の物体を対象としていた
→液体そのものの認識を行う。
・従来の液体を認識する研究は、容器の底面が既知の模様であることを前提としている
→底面を条件としない
3.4 提案手法コップに透明な液体が入っていると、底面が浮き上がって測定されることを利用し、以下の手順で液体を判別する
(1)入力点群からの机平面の除去
RANSACで机平面を判別し、机平面を除去する
(2)抽出した物体のセグメンテーション
机上の物体を個々に識別する
(3)カップ認識
カップの幅、高さで除外した後、最小二乗法およびICPを用いて、カップを認識する
(4)液面/底面の抽出
カップ内の液面/底面を抽出する
(5)液体の有無の判定
3.5 検証実験
(1)カップ認識
提案手法と従来のFPFH特徴量+SAC-IAアルゴリズムを用いたカップ認識の比較実験を行った。
提案手法が75%、従来手法が20%であり、提案手法が有利であった。
失敗の原因は、カップと他の物体が同一セグメントと認識されたことにあり、セグメンテーションの改良や複数角度からの測定で対処できると考えられる。
(2)液体発見
カップが空である状態では8回中1回失敗したが、他は全て成功した。
3.6 今後の検討
・ToF方式の距離画像カメラで液体を測定した際の減少の調査
・カップの認識率の向上
・ロボットが自律的に移動しながらのカップと内部の液体の発見
4 出現用語
5 おわりに
コップ底面のパターンが既知でなくてよい液体認識だが、コップのサイズが既知でないといけないのでは、汎用性は薄い気がする。
とはいえ、液体の認識だとか、透明な物体の認識だとか、正直に言えば「認識できないもの」と思い込んでいたものを認識しようという研究が多数存在したことは、自身の思考停止を窘められたような、目からウロコの思いであった。
6 今後調査したい事項